熱中症
熱中症とは、高温多湿な環境に、身体が適応できないことで生じるさまざまな症状の総称のことです。
なんとなく分かっていても、これってホントに熱中症なの?と疑問に思う方が多いのではないでしょうか。
早く熱中症に気づくためにも、素早く対処するためにも、『熱中症』ってどうなることなのか、一緒に見てみましょう。
これってホントに熱中症? 気になる症状
判断の基準は、 気温や湿度が高い環境において、次のような症状が出た時に熱中症と疑われます。
めまいがする、立ちくらみがする、筋肉のこむら返り、体に力が入らない、はきけがする、大量の汗が出る、頭が痛い、ぐったりする、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんがある、まっすぐに走れない・歩けない、体が熱いなどの症状がみられます。

出典:厚生労働省熱中症リーフレットより
気温が高い時(特に30度以上の暑い日)、湿度が高い時(湿度が70%以上の時)、風がない時あるいは風が弱い時、急に暑くなった時、日差しが強い時、締め切った室内などの環境下において注意が必要です。
熱中症のメカニズム
人間の体温を調節する機能がうまく働いていると、活動することによって体内に熱が発生して体温が上がっても、汗をかいたり、体の表面から、体内の熱を逃がすことができます。
ところが、気温が高かったり、湿度が高い時に激しい運動などをすると、体内に発生した熱をうまく逃がすことができなくなります。さらに活動を続けたりすることにより、体が熱くなり、汗が出ることで、体の中の水分や塩分が減ってしまいます。それにより、血流が悪くなり、体内の熱を逃がすことができなくなってしまいます。(体の中に熱がたまった状態)
症状1 めまい・立くらみ・こむら返り
めまいがする、立ちくらみがする、筋肉のこむら返り症状は、熱中症のほかに、起立性調節障害や貧血のおそれもあります。
- 熱中症が疑われる場合は、冷房が効いた屋内や木陰などの涼しい場所へ移動して、衣服をゆるめて安静にしましょう
- 水分や電解質を補給しましょう
症状2 だるい・吐き気・頭痛
体温を下げようと大量の汗をかき、体内の水分や塩分がへると、血流が悪くなり、症状1が出ます。その状態で水分補給や体を冷やすことが行われないと、脳やそのほかの臓器にも血流が低下するために、体に力が入らない、はきけがする、大量の汗が出る、頭が痛いといった症状が出ます。
- 症状を悪化させないためにも、上手な水分補給・塩分補給を行いましょう。
症状3 けいれん・おかしな反応
ぐったりする、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんがある、まっすぐに走れない・歩けない、体が熱いといった症状は、重度の熱中症です。
呼びかけに応じなかったり、自分で上手に水分補給ができない時は、むりやり水分を飲ませようとすることはやめて、すぐに医療機関にかかりましょう。
- すぐに医療機関に相談、または、救急車を呼びましょう。
熱中症になる恐れのある人
特にどんな人が注意したいかというと、身体がきびしい環境下に適応できない人です。
- 体温を調節する機能が低下している高齢者
- 体重に対する水分量が多く、脱水症状が進行しやすい乳幼児
- 体温調節が難しくなる 心臓病や糖尿病、精神疾患などの持病のある人
- 下痢などで脱水状態の人
- 二日酔いや寝不足など体調不良の人
- 肥満体質の人
また、健康な人でも激しい筋肉運動や、慣れない運動をしたとき、体力を消耗するような長時間の運動や屋外作業をしたとき、水分補給ができない状況だった時など、うまく体温調整ができず、バランスが崩れると、身体に熱がたまってしまって、熱中症に陥ります。
参考:熱中症かなと思ったら、チェックしてみましょう。(環境省熱中症予防情報サイトより)

出典:環境省熱中症リーフレットより
熱中症が疑われる人への応急対応として
- 上着をぬがして、衣服をゆるめて、風通しを良くしてあげる。
- 顔や腕など濡らしたタオルやハンカチなどを当てて、うちわや扇風機で風を送る。
- 服の上から少しずつ冷やした水をかけてあげる。
- 冷えたペットボトルなどを首やわきの下、足の付け根などにあてて、身体を冷やしてやる。
以上のようにして、体温を下げてあげましょう。

出典:厚生労働省熱中症リーフレットより
熱中症対策 適切な室温、湿度とは
環境の調整
熱中症を防ぐための適切な室温の目安は、28℃、適切な湿度の目安は、50%~60%です。
適切な温度、湿度を超えていたら、エアコンや扇風機を使用し快適な環境に戻しましょう。
特に暑い時間帯には、エアコンや扇風機のある涼しい場所で過ごすように心がけましょう。
温湿度計を部屋に置いて、常に確認をしましょう。

出典:厚生労働省熱中症リーフレットより
注意点
- エアコンが効いていない部屋や車内など、換気が悪い場所にいないこと。
- 調理などで熱を発生させる場所に長時間いないこと。
適切な服装
軽くて通気性の良い素材の服装を着用し、体温を下げる工夫をしましょう。

出典:厚生労働省熱中症リーフレットより
大事な水分補給
のどが渇いていなくても、こまめに水分・塩分を補給しましょう。特に高齢者は、注意が必要です。
高齢者は、若者よりも体内の水分量が少ないうえに、体内の老廃物を排泄する際にたくさんの尿を必要とします。
暑さに対する感覚機能が低下しているため、のどの渇きに対する感覚もにぶくなっています。
のどが渇かなくてもこまめに水分補給をしましょう。1日当たり1.2Lを目安にしましょう。(1時間ごとにコップ1杯、入浴前後や起床後もまず水分・塩分補給)
電解質を含むスポーツドリンクなどの飲料を選ぶとよいです。

出典:厚生労働省熱中症リーフレットより
外出対策
- 外出するときは、熱がこもらない涼しい服装をすること。通気性の良い服を着用すること。体を締め付けない服装を選ぶ。
- 外出時は、日陰を選ぶか、日よけ対策をとること。直射日光を避け、日傘や帽子を使用する。
- 暑い時間帯(特に昼間)は、外出を避ける。外出した際は、無理せず適度に休憩をとること。

出典:厚生労働省熱中症リーフレットより
暑さに負けない体力づくり・健康管理
- 体調に異変を感じたらすぐに医師に相談するなどして、定期的な健康チェックをする。
- 栄養のバランスを考えた食事をする。
- 毎日適度な運動をする。体力を維持するために軽い運動を取り入れ、体調を整える。運動は、涼しい時間帯に行うことが重要です。
体力づくりのための適度な運動
運動の種類
- ウォーキング・・・少ない負荷で行いやすく、心肺機能の向上に役立ちます。
- ジョギング・・・中程度の負荷で、持久力を高めるのに効果的です。
- サイクリング・・・膝に優しく、持続的な運動が可能です。
- 水泳・・・全身運動で、間接への負荷が少なく、暑い時期にも適しています。
- ストレッチやヨガ・・・柔軟性を高め、リラクゼーションにも効果があります。
適度な運動量
- 頻度・・・週に3~5回ほど
- 時間・・・1回あたり30分~1時間ほど
- 強度・・・会話ができる程度の運動(中程度の強度)
注意点
- 水分補給・・・運動中はこまめに水分を取りましょう。
- 環境・・・熱い時間帯を避け、涼しい場所で運動するようにしましょう。
- 体調確認・・・自分の体調に応じて運動量を調整しましょう。無理をしない。
以上のような運動を取り入れることで、熱中症に負けない体力を作りましょう。
1日1万歩を目標に散歩をしている方がいらっしゃいますが、歩き方を工夫するとさらに健康づくりに役立つと思います。
ゆっくりただ単に1万歩あるくよりも、インターバル速歩が良いようです。
また、インターバル速歩の後に、コップ1杯のミルクを飲む(乳製品を取る)と、熱中症を予防できるようです。※環境省の動画(暑さに強い体作り)より
熱中症、高齢者のための対策まとめ
同居の家族がいない高齢者が増えてきています。近所で声掛けをしてみてください。
また、常日頃から、家族で連絡を取り合い、近くでお住いの場合には、週末に出かけていくとかして高齢者を気遣ってほしいと思います。